
私は6:11発のKTXでソウルへ。割引があるTrip.comで事前予約。同じKTXでも料金が異なり、この列車は安めでした。所要時間がやや長く「〜経由」が書かれていたので、おそらく在来線を走る区間が長いのだと思います。また残席数で値段が変わるようでした(最安値にならなかった)。

KTXの車内。座席が転換しない旧型です。早めに予約したので進行方向の窓側が取れました。
リクライニングはしますが、座面が前にスライドするタイプ。座席幅が狭く、シートピッチも広くはなく、昔乗ったセマウル号(普通車でも日本のグリーン車並み)とは雲泥の差ですね。導入時に韓国での評判がよろしくなかったのもわかります。

ソウル駅に到着しました。ソウルに近づくにつれてだんだん混んできて、最後はほぼ満席。旅行や出張というより、荷物の少ない通勤客みたいな人が結構多かったですね。

跨線橋から見下ろすとこんな感じ。結構な人の量で、通路では人の流れを整理していました。

地下鉄乗り換え口を入り(WOWPASSのTマネーをチャージ済み)、1号線のりばへ向かいます。

分岐駅で乗り継いでインチョン着。一つ手前のトンインチョン(東仁川)までは快速があるはずなのですが、よくわかりませんでした。

駅舎はちょっと古風(日本なら昭和)な感じですね。
さて、ここから月尾海(ウォルミバダ)列車に乗ります。
この列車、不祥事まみれで韓国の闇の部分を凝縮したようないわくつきの観光鉄道なんですが、10年かかってほぼ全面的に作り直されてやっと開業にこぎつけました。
インチョン駅の南に隣接した月尾海駅、エレベータで上がって乗り場へ。
券売機は英語にも切り替えられるのですが、最初わからずに困っていると係員のお兄さんが助けにきてくれました。大人11000ウォン(1200円くらい?)で、途中下車が1回(2回と書いてあるサイトもあり)可能なようです。

月尾海駅を出発。

小型車両による2両編成の新交通システムで、 無人運転のため展望は良好です。運転士はいませんが、ガイドが乗車していて、周辺の案内をしているみたいです。乗客の質問にも答えていました。なかなか楽しい!

最初は港湾・工業地帯を走ります。 これはペインティングされた、おそらく穀物倉庫だと思います。

こういうところで直線的に走らず、あえて展示されている船(朝鮮戦争時のもの)の周りを大回りしていくので、交通機関というより、これ自体が観光施設なのだとわかります。

こういう工場も上から俯瞰できて、産業観光の一面もあるようです。

次いで飲食店や宿泊施設が並ぶ(高架線路の左下側なので写ってません)エリアを走り、さらに遊園地の横を通過。博物館駅で下車しました。

駅に隣接した国立海洋博物館。 ここがですね、口コミによると立派な建物の割に展示物が少なく、まだ未完成のようとかいろいろ書かれており、大阪人としては
「なにわの海の時空館」とか、
「私のしごと館」とか、
いろいろ思い出すわけですよ。
で、行ってみたところ(撮影禁止のため写真はありません)
・2階は海から見た朝鮮半島を取りまく歴史と現代の海運の役割、3階は海洋と生活、それに特別展
・なにより入場無料なので見せてもらう外国人としては文句はない。東アジア史に詳しければ興味深いだろう 映像展示は韓国語がわからないと無理 展示物の札は英語併記が多いが、解説文は韓国語のみが多い
・しかし極めて立派な建物に贅沢なスペース利用、要は展示内容の密度が低く、建物に対する展示室面積の少なさも相まって、韓国人にとっては「税金の無駄遣い」という感想を持つのは自然なこと
と感じました。やっぱり関西にあった両館に近いものを感じますね。海運業あたりが出資してるのかなとか、建築業者は儲かったんだろうなとか、建物はとても立派だし展望室もあるから展示室以外は写真撮影可にしてほしいなとか、そういう感想です。 思い切って無料にしているので、見学者からコスパ面での批判は免れるでしょう。
今後、展示内容が充実していくのなら、むしろ有料でも見学すべき場所になるでしょうね。
あ、1階はこども博物館(大きなプレイルーム)になってます。予約制だそうです。

博物館の裏はすぐ海になっていますが、この時は潮が引いていました。インチョンは干満差が大きいそうです。しかも遠浅のようですね。だから港に入るのに閘門があります。その閘門を見学できる施設に向かいます。

10分ほど歩いて、インチョン港閘門広報館に行きました。
4階展示室までエレベータで上がり、さらに階段で5階展望台に上がります。

管制塔みたいな建物の傍に閘門があり、ちょっと見えにくいんですけど警備艇か軍艦(灰色の船)と後方に民間船(右端)がいます。2枚前の写真に写っていた船で、引き潮の海から仁川港に水位を上げて入港します。 閘門の周囲には近づけないようになってますね。
日本でも干満差の大きい有明海の三池港に同様の施設があると聞きます。世界遺産の一部でもありますね。
そろそろ昼食をとってフェリーターミナルに行く時間なので、博物館駅まで戻り、月尾海列車に再乗車。

時間がなくて見学できなかった、韓国移民史博物館。列車の窓から。

先ほどの閘門広報館。列車から閘門は少し離れているので、見たければここまで実際に行ったほうが良いです。バスならあまり歩かずに近くまで行けます。

線路はラケット型に敷かれており、先ほどの分岐点まで戻ってきました。

この分岐点に車庫があります。ポイントでなくトラバーサ(列車を乗せて線路ごと水平移動する装置)になってますね。

月尾海駅に戻ってきました。実はここもポイントでなくトラバーサなんですよ。

インチョン駅前から広がる中華街(インチョン随一の観光名所 韓国では「チャイナタウン」と呼ばれる)で昼食です。

ただこの後、中国に行くので韓国の中華料理(在韓中国人によるものらしい)であるジャージャー麺にしました。海鮮ジャージャー麺、11000ウォン(1200円くらい)だったと思います。イカ・エビ等が豊富に入っていて美味しかったです。メニューのパネルが最初読めず、日本人だと告げたらメニューを持ってきてくれました。そして帰りには「アリガトウゴザイマシタ」と、日本人結構来るのかな?

仁川では地下線になっている 水仁・盆唐線 とバスを乗り継いで、フェリー乗り場へ。
ただ2駅目で降りるべきなのに、間違って1駅目で降りてしまい(漢字じゃないのでナビを見て直感的に認識しづらいと言い訳)、約10分後の次の電車を待ちます。

スンイ(崇義)駅からバス。直通の13番に乗るはずだったのですが、時間に余裕が無くなってきたのでNAVERマップが示す36番→16-1番の乗り継ぎで行くことに。

ここでバスを待ち、乗車。次のバス停の音声案内は聞き取れず、画面表示は無さそうなので、地図アプリで確認しながらです。
ただこの乗り継ぎがですね、バスターミナルみたいなところがあるのかと思ったら、港湾の広く交通量の多い道路の、信号付き横断歩道を挟んだ向かい側のバス停への移動なんですよ。その乗り継ぎ時間がわずか2分!当然信号に引っかかって乗れませんでした。(精神的に余裕がなく写真なし)
次のバスが10数分後くらいに来て、何とか「仁川港国際旅客ターミナル」へ。降車時にボタンを押したんですが、バスがどこで停まるのかわからず座っていたら通過しそう!いつの間にか「次停車」ランプが消えており、再度プッシュ!韓国のバスでは降車前に立っておかないと通過されるというのを知りました。

2階のホールに上がり、大連行きのカウンターでパスポートを出してチケットを受け取ります。チェックインカウンターのお兄さんは日本語が話せました。
この航路の予約が今回の旅行で一番苦労したところです。船会社のウェブサイトはあるものの韓・中(中国語は完全ではない)のみなので翻訳しながら予約を進めるも、最終的にVISA・MASTERといった国際クレジットカードが通らないというところで一旦詰んでしまいました。ただ、使える支払い方法に一つだけ「UnionPay」があるのを発見。そういえば1月に中国江蘇省南通の空港でインタビューを受けた時、中国で使う支払い方法にWechatpay、Alipayの名を挙げたら「UnionPayもね」みたいなことを言ってたなあと思い出し、ネットで銀聯カードの画像をみるとUnionPayと書いてある。「中国行きの船だし、このUnionpayが中国のを意味してるなら、銀聯カード作れば使えるのでは?」と考え、申し込んで送られてきたカードで試してみると、
予約成功! やったあ!
フェリー専門の予約サイト(使ったことがない)なんてのもあるのですが、そちらはノーマル運賃+手数料みたいなんですよ。ところが直接予約するとそのときの空席状況で値が変わるようですが、私の場合は半額(運賃部分のみ)になりました。 最初は40%引きだったのですが、銀聯カードを待っている間に値が下がりました。普通の人は飛行機で行く時代に船が満席になることは少ないのでしょう。当日港で購入だとこちらもやはりノーマル運賃になるようでした。

この日は大連行きと煙台行きの便があります。どちらも遅れているようです。荷役の関係か干満の影響かでしょうね。

インチョン港国際旅客ターミナルは、予約状況からガラガラだと思ったら、待合室は中国人団体で一杯。煙台行きと2便あるけど、出国手続きの大連行きの 札の前にはもう荷物が並べてあります。出航は17時、17時半、2つの情報があったけど、遅れて19時らしい。
ターミナルには船の見える展望エリアがあるんですけど、撮影禁止。 これは残念です。大連行きの船は元有村産業のクルーズフェリー飛龍、現船名はBIRYONG(飛龍)。もうすぐ引退という話も聞きました。煙台行きの船の方が大きいですが、飛龍の方が格好良い船型です。大連で写真撮れるかな〜?
17:30出国手続き開始。 船は荷物量の制限がほぼ無いようなので、みなさん大きな荷物を抱えてます。
岸壁までは飛行機の搭乗のようなバスに乗ります。その後荷物を持って乗船時のタラップを登るのは大変なようでした。
結局18時頃出航。遅れてるのか、早発なのか...
出航して離岸すると中国人客がバシバシ写真を撮り始めたので私も撮影開始。

仁川港国際旅客ターミナル。

餌付けするのでカモメが船を追いかけています。パン1枚ごと取られた客も。
港を出て、橋をくぐって黄海に出ます。

エントランスホールの階段踊り場にある、龍の彫刻。

作者のことばが日本語なのは、先ほども書いたようにこの船が元日本船だからなんですね。中国人好みであろう龍はともかく、この表示を外さずによく残してくれたなと思います。
大阪・名古屋〜那覇〜宮古〜石垣〜基隆の航路を運行していた有村産業の「クルーズフェリー飛龍21」で、同社の倒産後はマルエーフェリーの東京〜那覇航路に使用されました。現船名、BIRYONGは「飛龍」のことで、元の船名を生かしてくれています。Wikipediaには同型船「クルーズフェリー飛龍」が仁川〜丹東航路に就航していると記述がありますが、そちらはもう船が変わっているようです。

そして通路の突き当たりには石敢当があるんですよ〜。沖縄の船ですねえ。

そんなことをしている間に仁川大橋を通過してしまいました...
夕食時間を尋ねると19時からとのこと。言葉が通じない日本人客に気を遣ってくれ、船内放送の後に船室までわざわざ呼びにきてくれました。船員さんとても親切です。
レセプションで、8000ウォンまたは40元(船なので現金 約900円)で食事券を購入。

で、これ。左上の肉団子みたいなのは一人ずつ入れられ、他の3種(漬物・佃煮の類)は好きなだけ自分で取ります。 それと白飯、汁物が加わります。
そして結構辛い。韓国料理の一品一品って食べてみるまで辛さの程度がわからないんですよ。これ大丈夫だろうと思って取ったらすごく辛かったり、これ辛そうと少なめに取ったらそれほど辛くなかったりとか。

レストランの席がガラガラで異様に空いている理由がわかりました...

海を見ながらの食事、楽しいはずなんですが...
船上だから割高なのは仕方ないにしても、もう少し何か欲しかったですね。
むしろ作業ベストを着ていた、東南アジア〜南アジア系らしき船員さんが持っていた、白飯にチキンを乗せた食事の方が美味しそうでしたよ。
口直しに食堂入り口の売店で、マンゴージュースを購入。1000ウォン。ここで昔(2006年)旅行で残った1000ウォンを出したら怪訝な顔をされ、食券購入時のお釣りの新札だと受け取ってもらえました。韓国のお札変わってたんですね。
地図アプリで確認すると、通常航路がそうなのか、この数日の北朝鮮のミサイル発射の関係なのか、かなり南に迂回してから黄海に出ているようです。

この日は満月だったんですね。大潮で潮の引きが大きかったのだなあと納得しました。
ほぼ波の揺れもなく、静かな月夜の航海です。
船旅の友、アネロンニスキャップ(最強酔い止め薬) の出番はなさそうです。
翌朝は大連です。