2021年04月07日

18きっぷで紀伊半島一周

春の青春18きっぷが1枚余ったので、久しぶりに子連れでなくひとりで出かけることにした。
子どもに一緒に行こうかと言っていた紀伊半島一周。普通列車だと丸1日がかりとなり、残念ながら子どもは「しんどそう」と行ってくれなかった。
紀伊半島の白浜〜多気は夜行列車か、昼行でも寝ていたり立席で景色が見えなかった区間が多く、海沿いなのにあまり車窓の風景が記憶に残っていない。
5時頃に自宅を出て、和歌山→三重の方向だと帰る時間もさほど遅くならないので、行ってみた。

自宅の最寄駅を5時過ぎの、予定より30分ほど早めの列車に乗れたので、大阪、天王寺、和歌山と乗り継いで御坊まで行ってしまう。車内で接続を調べていると、御坊で紀州鉄道に乗り換えて往復できることがわかったので、行ってみる。
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御坊駅0番ホーム。紀州鉄道の西御坊行。
駅を出てすぐ左に急カーブする。ここは以前レールバスが脱線したことがあるので、かなり徐行して通過。
元は御坊臨港鉄道で、昔は貨物列車も走っていたという面影はほぼない。
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まあ、この終点西御坊駅のところで、手前側が斜めに開けているのが、貨物列車唯一の痕跡か。何と駅の途中で貨物線が分岐していた(廃線跡あり)のだ。西御坊駅では気動車がポイント上で停車していたという、何とも専用線に無理に旅客列車を走らせたような路線だった。
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折り返し停車中の線路の先には、もう1駅先の日高川駅まで伸びていた線路が残されている。但し、西御坊を出てすぐの小川にかかる橋はなく、住宅が線路敷地に掛かって建てられてしまっているが、意外に線路が残っている。
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見えにくいけど駅舎の入り口に「NISHIGOBOU STATION」(クリックして拡大していただければ見えます)
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達筆の毛筆駅名版と表示は立派だが、
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低い天井板がちょっと廃屋を思わせるような廃れっぷりだ。ただ、この西御坊駅に関しては「昭和の時代からこうだった」ので、メンテナンスとしてはきちんと整備されているのかもしれない。
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紀伊御坊駅の予備車?片方は休車かもしれない。
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こちらはもう保存車ではないかと思う。確か元大分交通耶馬渓線の気動車だ。
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御坊駅に戻ってきた。
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紀伊田辺行に普通列車に乗り換え。紀勢本線はほぼ227系だけになってしまった。新車なのでロングシートだが、乗り心地は良い。
紀伊田辺ではすぐ新宮行に接続。この後は2時間以上の長旅なのに、飲み物を買う時間もない。
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と、思ったら白浜駅で約30分の長時間停車。改札を出て売店で買い物。新宮発のオーシャンアローが走り抜けていった。
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海沿いを行く紀勢本線は景色が良い。特に見老津〜新宮は磯に沿って走る区間が長く、見応えがある。
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カーブした連続ガーダー橋で古座川を渡る。
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紀伊田辺から先は単線なので、対向列車待ちの停車が結構あった。大きな駅ではなかったので、ホームに出ていた程度だが。
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新宮発のパンダくろしおと行き違い。
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新宮駅手前の徐行区間。磯の波を被るような場所を走っている。
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この後は七里御浜に続く広い浜辺沿いを走り、少し陸側に曲がると新宮駅。
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新宮駅では30分ほど時間があったので、天然記念物「浮島の森」を見学。
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左の森がそのまま巨大な浮島で、さすがに大きすぎて風で移動したりはしないと思うが、水位によって上下するらしい。
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橋を渡って浮島の内部へ。
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浮島内部はこのような湿原状態。寒い地域だと枯れた植物が完全には分解されれずに泥炭の湿原となるが、ここは低栄養の湧水に浸かっているため分解が進みにくいのだろうか。
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浮島内をこのような遊歩道が通っているのだが、

下が硬い地面ではないので、揺らすと波ができるし、沈まないよう浮きがついている。
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「蛇の穴」という底なしの穴。
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台風で倒れた杉の倒木なのだが、下が柔らかいため樹が折れない。そのため、倒れた後から幹が上に向かって曲がって伸びている。受付の方に伺ったところ、杉は根が浅く倒れやすいそうだ。一方クスノキは直立して高く伸びていた。
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浮島保存のためだと思うが、浮島湿原の流出口で水位が調整されている。
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駅からも近く、30分程度でも十分見て帰れるので、新宮で時間ができた方にはオススメしたい。
駅前の徐福寿司でさんま寿司を購入。まだ腹が減っていないのと、ロングシート車ばかりなので、後ほど遅めの昼食としたい。
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普通伊勢長島行のキハ25。これもロングシートだが、馬力があり乗り心地も良い優れた車両。
新宮駅を出るとすぐ、熊野川を渡って製紙工場への専用線が延びていた鵜殿へ。
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キハ85系の「南紀」と行き違い。
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伊勢長島駅に到着。実態は1時間を超える長時間停車なのだが、無人にするため一旦客を降ろして扉を閉鎖する。
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紀伊長島駅前。駅舎の向かいに牛乳店の売店、斜向かいに寿司店(現在持ち帰り専用)。数分歩くとパン屋、ラーメン屋、スーパー「オークワ」といろいろある。但しご当地のものは寿司店のサンマ寿司くらいだ。サンマ寿司と焼きサンマ寿司のセットを購入し、これは土産にして新宮で買ったサンマ寿司を先に駅ホームでいただく。シャリに少し柑橘系の味がついていてさっぱりしたいい感じ。
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大内山駅の桜。
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終点の多気駅で4本の列車が待ち合わせとなり、3方向へ出発していく。
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亀山行も同じキハ25。途中対向列車の遅れで数分の遅れが生じたが、亀山、柘植、草津と乗り換えて21時までには帰宅した。

ほぼ同じ行程をたどられる方もいると思うので、車窓について付け加えておきたい。
海沿いを走る紀勢本線だが、新宮以西では書いたように見老津〜新宮の車窓が良い。曲線とトンネル、橋梁が続くので前面展望も良いが、海側の磯の風景が素晴らしい路線である。串本以西では和深のあたり。串本を過ぎると橋杭岩が見えるが、海との間に建物があるので良い眺めとはいえない。
古座川橋梁を渡り、その後はリアス式海岸で海とトンネルが繰り返され、三輪崎〜新宮で、磯から砂浜に変化する。
新宮を出たら熊野川橋梁。その後は砂浜から少し離れるが、新宮側は斜面で、熊野市側は海岸砂丘で小高いところを走る区間も多く、海はちょくちょく見える。
熊野市〜尾鷲は最後の開通区間で、長大トンネルで山を抜け、漁村と漁村をつなぐように走る。大曽根浦あたりの景色が一番良いかもしれない。尾鷲〜紀伊長島は内陸部が多くなる。
紀伊長島を過ぎると、Ωループを描いて山を登っていく。トンネルが多く、下の線路は見えないが、左側に注意していると紀伊長島の街を見下ろせる場所がある。



posted by malay at 01:59| Comment(0) | ひとり旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月06日

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館/あいち航空ミュージアム

 久しぶりに18きっぷを買ってしまったので、先々週に続いて子どもと岐阜方面に出かけました。
 雨模様のため、最初は岡山の井倉洞・満奇洞か静岡の竜ヶ岩洞を考えていたのですが、竜ヶ岩洞と組み合わせる場所がないかと探していたところ、あいち航空ミュージアムを発見。そこから岐阜かかみがはら航空宇宙博物館も(セット券があるので)見つけて行き先決定。
 この両館は距離的にさほど離れていませんが、バス+電車だと大回りになるため2時間以上を要します。とりあえず岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に行って、時間が余ればあいち航空ミュージアムも行くというプランで考えます。セット券は半年有効なので、1館だけでもまた来ればいいし。
 自宅を5時過ぎに出て、京都、米原、岐阜と乗り換え。
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 JR岐阜駅前に保存されている名鉄のモ510型。優美な半円筒型の前面が特徴的。
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 岐阜市内では路面を走っていたので、車体が細いです。車内は2+1の転換クロスシート。
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 名鉄岐阜駅から名鉄電車で各務原市役所前駅へ。
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 ここからコミュニティバスで、航空宇宙博物館に向かいます。間に自衛隊の各務原飛行場があるので、バスは迂回していくのですが、このバスは西に大きく迂回していく路線でした。系統によりかなり所要時間が違うので、急ぐならタクシー利用もアリかもしれません。バスの本数も少ないので、ナビで検索すると駅から徒歩という候補も出ます。かなり距離があるので勧めませんが。

 入館は10時頃。私のセット券\1400、中学生の子どもは無料。まずシミュレータ受付で予約を取って、それから見学です。体験できるのは小型ジェット機シミュレータのみだったので、ちょっと残念。
 まず、この館の目玉「飛燕」の実機です。
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 水冷エンジンを積んだ戦中の日本の軍用機にしては非常に「カッコいい」機体なのですが、小学生でプラモデル作りに凝っていた頃、作った記憶がありません。おそらくちょっと高価な模型しか売られていなかったのだと思います。日本の技術ではドイツ製のライセンス生産の水冷エンジンの生産・整備がうまくいかず、実戦では散々だったようです。国鉄の鉄道車両でもDD54という同じような経過を辿ったディーゼル機関車がありましたね。
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 自衛隊の練習機T-33。これはよくプラモデルで作りました。三沢の博物館でも屋外展示されていましたね。
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 STOL(短距離離着陸)実験機の「飛鳥」、飛燕と並ぶこの館の目玉です。翼の上方前縁に取り付けられたターボファンエンジンが特徴です。
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 戦後の航空機の屋内展示場です。飛行艇は屋内にも屋外にもあります。
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 HIIロケットのフェアリング。この中に人工衛星などが格納されます。
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 小型ジェット機のシミュレータ。自衛隊機で示された三角マークをスモークを焚きながら通過せよというものでした。かなりゲーム感覚のようです。
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 館を出たところの屋外展示。YSー11や飛行艇、対潜哨戒機などがあります。
 ちょうどガガーリン展をやっていて、売店では旧ソ連時代の飛行機バッジをタイピンに加工したものが売られていました。子どもが気に入ったようなので、将来使う日が来た時のために買ってやりました。ネクタイを着けるのが航空関係の制服だと良いね。
 ゆっくり見るつもりでしたが、結局2時間居ませんでした。展示室は大きいのですが、コロナ禍もあって体験できるもの、内部に入れるものが少ないのであまり長居しませんでした。バスで駅に戻り、県営名古屋空港(小牧)傍にあるあいち航空ミュージアムに向かいます。
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 ローカル感漂う各務原線から、犬山駅で犬山線に乗り換え。西春から空港行のバスに乗り「エアポートウォーク」下車。ショッピングモールを通っていきます。受付で私はセット券を出し、子どもの入場料\500も払ってそれぞれ「搭乗券」をもらい、YS-11シミュレータの予約をして入館です。
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 こちらには室内にYSー11の実機があり、客室内に入ることもできますが、運悪くシミュレータの時間と重なってしまいました。
 2階の飛行機の模型はなかなかの見もの。実機でなくてもあれだけ揃えられるのは凄いと思いました。
 時折、名古屋空港に発着する飛行機のエンジン音。但し、民間機はFDAだけなので便数が少なく、展望フロアもありますが、飛行機を見るだけならば中部国際の方が良いでしょうね。
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 工業高校の学生が作った飛行機。飛んだのはライト兄弟のフライヤー号程度のようですが、自分たちで作ったという経験は宝になるでしょう。
 喫茶コーナーで軽食をとりました。紙皿ですがカレーは自家製らしく、本格的な味でしたよ。
 YSー11シミュレータは「航空学生でもそこそこ難しい」という解説の通りでした。子どもも私も★★★。1日に何度かチャレンジできるとは言え、これを★★★★★にできる人、さらにそこから上級モードで★★★★★を達成した人が紹介されていました。尊敬します。
 館を出るとすぐバス停があるかと思えば、少し離れており、それがまた降り場と乗り場が違うのでダッシュで勝川駅行に乗車。そこから金山駅に向かい、お土産を買って、米原乗り継ぎで帰宅しました。
 
posted by malay at 00:00| Comment(0) | 父子旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする